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漢方薬と西洋薬の違い

漢方薬と西洋薬の違い

漢方薬の原料はすべて、植物・鉱物といった自然に存在するものからできています。古代中国から伝わった漢方は、歴史に名を残すような名医たちが試行錯誤を繰り返して体系化されてきました。

西洋から伝わった西洋薬(新薬)とあわせて、現代の医療に用いられています。あまり知られていない漢方の力をわかりやすく解説していきます。

漢方薬と西洋薬(新薬)の違いとは

簡単に説明すると、漢方は身体全体の調子を整える、西洋薬は症状や病気をピンポイントに改善させる薬です。どちらにもいい点、悪い点があり、合わせて用いることで補い合うことができると考えられています。

西洋薬の多くは、ひとつの薬にひとつの有効成分で作られます。血圧を下げたり、病原菌を攻撃したり、解熱したり、症状に直接働きかけ、強い効果をもたらします。そのため、急性的な病気・疾患の治癒が得意。患者の状態や体質などはある程度考慮しつつも、検査で確認された症状に対し、画一化された方法で治療を行うケースがほとんどです。

一方で、漢方薬はひとつの薬に複数の有効成分を含むため、服用することで多くの症状に効果を発揮します。漢方医学の診察は、細菌や病原菌の検査ではなく、患者による訴えや患者自身の体質、症状のチェックです。診察後、その人の症状から適切な薬を処方します。

得意な分野は、体の冷えや虚弱体質など、検査しても原因がわかりづらい疾患や、病気として診断されない体の不調(未病)などです。さらに、西洋薬のによる副作用の軽減にも大きな効果が見込めます。

漢方薬と西洋薬を併用するケースが増加

それぞれ得意とする分野は異なりますが、近年の医療界では、東洋医学と西洋医学を組み合わせた治療が普及しています。2012年に日経メディカル開発が約350人の医師を対象に実施したアンケートでは、回答者の8割が漢方薬を処方していうほど。

検査で発見できる重病や急性疾患は西洋医学で対応し、体の不調や西洋医学による副作用へのサポートを東洋医学が行うといった治療の多様性が見られているのです。

漢方薬と民間薬の違い

漢方薬と民間薬の違いを説明するうえで、ポイントとなるのは生薬です。あまり耳にすることはないかもしれませんが、合わせて紹介しておきます。生薬の説明を踏まえつつ、漢方薬と民間薬の違いについてみていきましょう。

漢方薬は、漢方医学の理論に基づいて、原料となる生薬を複数組み合わせて作れられた薬です。反対に、民間薬は、古くから庶民の間で効果があるといわれてきた薬であるため、生薬そのもののことを指します。よく知られている民間薬としては、アロエなどがあげられます。

証(証明書)の有無

もう少し詳しく説明すると、漢方薬と民間薬の間には「証」という決定的な違いがあります。漢方薬は、漢方医学で「証」という「この配合で作ればこの症状に効きますよ」という証明書がありますが、民間薬にはありません。

民間薬はその名前の通り、民間療法に基づいて発展したものです。なので、効果はあるかもしれないけれど、証明されていなかったり、効果が薄かったりなどの可能性があります。

代表的な漢方薬に『葛根湯』という薬がありますが、この漢方薬はかぜ薬ではなく、葛根湯の証である頭痛・寒気などの症状が見られる場合に服用できるというわけです。

一方、民間薬は日本で発達したものが多く、日本の風土や日本人の体質に適した薬が多いのが特徴。単体の症状に対して1つのみの薬を服用することが多く、有効性も定かではありません。言い伝えに基づいて調剤技術が発達したので、経験的で理論に基づいていないものが多いようです。

生薬とは

生薬とは、植物・動物・鉱物などといった天然の産物から作られる薬のことを指します。薬といっても、化学的に分解したり、有効成分を抽出したりするのではなく、乾燥や切断、粉砕などといった簡単な加工によってつくられているものがほとんど。生薬の中で、最も代表的なのは植物です。よく「薬用植物」と言われているものが、まさに生薬です。

例えば、ドクダミやタンポポは、「ジュウヤク(十薬)」「ホコウエイ(蒲公英)」という生薬名を持っています。このように、身近な植物も生薬として効能が認められています。

自然の恵みと、人間の知恵や経験が合わさって生まれた生薬。体全体を無理なく良い方向に導くという観点を持つ漢方医学において、最も大切な要素です。

漢方薬と西洋薬の違いは作用や材料に見られる

漢方薬と西洋薬の違いは作用や材料に見られる

漢方薬と西洋薬は、共に病気を治すために用いられる薬です。しかし、東洋医学から生まれた漢方薬と、西洋医学から生まれた西洋薬では、作用や材料など様々なところに違いが見られます。漢方薬と西洋薬の違いについて、詳しく解説します。

西洋薬は化学合成した有効成分が材料

西洋薬は有効成分を化学合成したものから作られています。薬として精製することができる成分を含んだ化合物を「原薬」と言い、原薬を精製する工場で化学合成を行って製造しています。

この原薬が作られたあとは製薬会社に卸されて、そこからさらに飲みやすくするための添加物などを配合した後、薬として成型されて、ようやく普段わたしたちがよく見かけるような薬になります。

化学合成した有効成分と聞くと、なんだか体に悪いのではないかというイメージがあるかもしれませんが、原薬は化学物質だけでできているわけではありません。化学合成したものもあれば、植物などから抽出しているものもあり、詳しい製造方法は薬によって異なっています。

漢方薬の原材料は様々な生薬

一方、漢方薬の原材料は「生薬」と呼ばれています。漢方薬の材料というと薬草というイメージが強いですが、生薬は必ずしも薬草だけではありません。たとえば、「硝酸カルシウム」という成分が多く含まれている石膏という鉱石も、漢方薬に用いられることがある重要な生薬の一つです。

また、生薬として使われる材料が全て特別な薬草である、ということもありません。スーパーでも手に入るようなクコの実や金柑なども生薬の一種で、漢方薬に使われることがあります。また、西洋で使われているハーブが海外から日本に伝わってきて、生薬として使われるようになったというケースもあります。

カミツレという名前でも知られているカモミールは江戸時代にオランダやポルトガルから伝わり、日本でも薬効が認められて生薬として用いられるようになったハーブです。

漢方の考え方には「病名」がない

また、漢方薬を用いる東洋医学と、西洋薬を用いる西洋医学には、病気を治療するための「診断」というステップにも大きな違いがあります。一般的に西洋医学では、症状と身体の様子、検査の結果から「病名」を推測し、診断してから症状に合った薬を処方します。それに対して、東洋医学には「病名を診断する」というステップはありません。

『漢方医学は西洋医学とは異なり、「病名」がないといわれている。これは西洋薬と比べて漢方薬の薬理作用が発揮される個々の生体反応(自覚及び他覚初見)の条件を厳密に規定し、効く条件のみ(「証」という概念)その薬を投与するという大原則があるからである』[注1]

このように、漢方薬は西洋医学のように病名を診断してその病気に効果のある薬を投与するという考えではなく、そのときの身体の様子から当てはまる薬を選んで投与するという形で処方されます。

現代の日本の病院は多くが西洋医学に基づいた考え方のもと薬を処方していますが、漢方の専門医や、治療に漢方薬を取り入れているお医者さんの中には、身体の状況を総合的に把握するという東洋医学的な考え方を、柔軟に診療に組み込んで活用しているところもあります。

漢方薬も西洋薬もメリットとデメリットをよく考えて使おう

漢方薬は西洋薬に比べて効き目が穏やかで安全な薬だとよく言われていますが、実は西洋薬にないデメリットもあります。

漢方薬は有効成分だけが入っている西洋薬と違い、色々な生薬を組み合わせて作られているため、一つの成分でできている西洋薬よりもアレルギーを起こしやすいというデメリットがあります。

また、漢方薬は身体の状態に合わせて薬を選ぶ必要があるのですが、身体に合わない漢方薬を選んでしまうと不適合状態になり、副作用が起こりやすくなってしまうという弱点もあります[注1]。

漢方薬は自然のものから作られているので、身体に優しい、効き目が穏やか、天然の素材から作られた薬で安心といったイメージがどうしても先行してしまいがちです。

しかし、効き目が穏やかということと安全であるということはイコールではありません。また、アレルギーなどの体質によっては、副作用が起こるリスクのある漢方薬よりも西洋薬を選択したほうがよいケースもあります。

漢方薬にも西洋薬にも、それぞれのメリットとデメリットがあります。ただなんとなくよさそうといったイメージで選ぶのではなく、自分にとって何がより良い選択となるのかという点を考えて選んだほうが良いでしょう。

この記事を作るのに参考にしたサイト

参考[1]漢方薬の副作用・相互作用[pdf]
https://www.jstage.jst.go.jp/article/orltokyo1958/40/1/40_1_109/_pdf/-char/ja